アドベンチャーワールド遠征記

パンダラブツアー体験中心に白浜パンダ色々

オタク、パンダの王国へ行く~前編~

cafenoir-panda.hatenablog.com

 

 

 

5月19日午前8時半、私は和歌山県白浜駅前にいた。

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前日、朝9時の飛行機で羽田を飛び立ち一路和歌山県へ…と言いたいところだが。前回述べたとおり南紀白浜空港行きのチケットが取れなかったため、まずは関西空港へ。そこから高速バスを使って白浜入りした。飛行機の座席前モニタを見ながら「もうちょっと左に寄ってその辺にある空港に降りようか」と念を飛ばしてみたがムダだった。

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(目的地をスルーして飛ぶ飛行機、の図)

 

前日のうちに白浜の主な観光地を回っていたので(※海関係の観光地はコンパクトにまとまっているので3時間もあれば全部回れる)この日の目的はアドベンチャーワールドのみ。白浜駅からアドベンチャーワールド行きの路線バスが出るというので早朝にホテルをチェックアウトしてきたのだった。が、ここで想定外の事態が。

アドベンチャーワールド行き路線バス、始発が9時半過ぎ』

いやおかしいでしょ、今の時期の開園9時半なのに。どう考えても間に合わないじゃないか。

たいていのガイドブックやパンダ関係の本には『パンダは開園直後が一番活動的』と書いてあるし、実際上野でもそうだった。っていうかネット検索でいくつか読んだアドベンチャーワールド体験記でもパンダを見るため開園前から並ぶ人々の話がよく出てくる。つまり朝一番で入園してパンダを見に行くのはほぼデフォだろうに。

そうはいっても現実にバスが出ないのだから仕方ない、タクるか。…1500円以上かかるけど。バスだと300円だけど。タクシー会社とバス会社結託してるんじゃなかろうな?とかちょっと思ったけど、それはまあおいといて。

 

駅前で客待ちしていたタクシーの運転手さんは明るく、慣れた風情だった。「お姉ちゃんよかったな、今日はすいとるわ。パンダとよう喋れるで」「大きな荷物は入る前にロッカーに入れとき。入口の左にあるからな」等々アドバイスしてくれる姿にやっぱりここは観光地なんだなあと感心しつつ、車は十数分で山の上のアドベンチャーワールドへ。

 

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広大な駐車場の奥に姿を見せた巨大建物の前には、まだ開園1時間前だというのに30人前後がたむろしていた。だが運転手さん曰く「やっぱり今日はすいてる」。

言われたとおり荷物をロッカーに入れて入場券を買い(先に買えるのはありがたい。ちなみにクレカOK)待機列へ。入場ゲートの向こうにドルフィンタッチなど園内イベントの当日受付ブースが3つ。大半の待機客はそのイベント券目当てに並んでいるらしい。

徐々に開園待ちの客が増えていき、開園5分前になるとスタッフさん達がいきなり大量に現れて歌ったり踊ったりクイズ大会を始めたりしだした。あ、明るい…インドアオタクには眩しいリア充世界。デ○ズニーランドもこんな感じなのかな…と中学以来行ってない場所に思いをはせてみたりもした。そして待望の「それでは開園です!」の声で園内へ。

 

推測どおり、自分の前や横にいた人々はイベント受付ブースへと殺到。それを横目にアーケード内を小走りで抜けた。左右は小奇麗な店舗やレストランが立ち並び、スタッフさん達が笑顔で手を振り挨拶してくれる。…ごめんなさい、今それどころじゃない。

上野で培った競歩もどきで事前に頭に叩き込んだパンダラブ(=子世代パンダ3頭の飼育施設)へ向かう。地図を制す者人気動物を制す、巨大カメラのおじさん達との動物園内攻防で学んだ知恵だ。ぐずぐずしていると黒山の人だかりの隙間からようようパンダを覗く羽目に陥ってしまうだろう。

 

アーケードを出て屋根つき通路をひたすら進むとふいにぱあっと視界が開けた。青空の下に綺麗な芝生、そして。

 

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…は?

 

目を瞬かせて二度見、いや五度見くらいした。いる、なんかいる。いやなんかっていうか、白と黒の…え、うそぉ?!

あまりにも普通にそこにいた。周囲は誰もいなくて、目の前にはパンダ。近い、ガラスがない、パンダいる。えっ本物? 夢ではなく? 作り物でもなく?

なんていうか雑誌とかで見た写真のまんまの光景すぎて、多分しばらく呆然としていたと思う。ややしてはっと我に返った。写真、写真!

連写に近い状態で撮影し、ものすごく満足してスマホを下ろした。本物のパンダはもちろん見たことあるけどこんな近くで素通しで見るの初めてだわーここに来た甲斐あったわーああパンダかわいいなあ最高だなあ~。目的をほぼ達成したような気分で一息つき、そしてまた我に返った。…ここ、パンダもっといるよね?

今目の前にいる子が誰だかよくわからないけど(※開園直後は名札が出てなかった)あと2頭いるはずで。えっ、どこ?どこにいるんだ?! ぐるぐる周囲を見回して、しばらくして隣にでかい建物があるのに気がついた。よくよく見るとお客さんが中に入っていってる。そこか!

 

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いたあああああああああああ

涼しい、晴天の屋外から見るとちょっと薄暗い部屋の中にガラスで仕切られた芝生敷きの空間が2つ、パンダが2頭。ちょうど飼育員さん?が名札をつけにやってきて、左が桜浜、右が桃浜の双子パンダだということがわかった。ということはさっきの外の子が末っ子・結浜か。

 

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左・桜浜、右・桃浜

 

パンダ…パンダ…すごい…かわいい…と30分以上3姉妹を堪能して今度はブリーディングセンターという親世代パンダ達の住処へ。ここは少し奥まったところにある。

 

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パンダラブと違ってこちらはガラス越しの対面だが、それでも上野で慣れた身からすると充分すぎるほど近い。そしてお客さんもそこまで多くないのでゆっくりじっくり見られる。

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左・永明パパ 右・良浜ママ。親世代もかわいい。あと気のせいかもだが愛想がいい。

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壁にはアドベンチャーワールドとパンダの関わりについての説明、歴代パンダ達の写真などが。

 

 

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隠れパンダ

 

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パンダラブに戻ると双子はお休み中。寝ててもかわいい。なにしててもかわいい。

 

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パンダ以外にも見どころがいっぱいあるアドベンチャーワールド、イルカショー見学やホッキョクグマのおやつタイム、サファリパークのおやつ体験などもやりにいった。余談だが、この辺の見学や体験は無料~小銭程度でできる。

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昼食のカレー。レストランや屋台は軽食から本格的なものまでそこらじゅうにある。

 

そして午後、いよいよ今日のメインイベントへ。まずは13時過ぎからのパンダラブツアー。

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パンダラブの隅の方(演劇ジャンル的に言うと上手の奥)に小さな看板が。バックヤード系のアトラクションはすべてここが集合場所らしい。

時間の少し前、白黒の制服に頭にパンダのカチューシャをつけた優しそうな女性がやってきた。仙台出身だと自己紹介したその飼育員さんが点呼をし、その辺にたむろっていた我らをパンダラブの裏側に連れて行ってくれる。ちなみに参加者定員15人のうち、1人参加は自分だけ。あとは小さい子連れファミリー・ご夫婦・カップル・姉妹っぽい女性同士…など。ひょっとして、みんな偶数での参加だから最後の1枠で入れたのかしらん…なんて思ったりして。

バックヤードに入る前に注意事項の説明と手足の消毒、そして配られた小冊子を用いた簡単な解説が。そこで判明したのが「今回の参加者全員、アドベンチャーワールド初来訪」これには飼育員さんも少し驚いてたし自分も驚いた。なんとなくだけど、こういうアトラクションって参加何十回目みたいなマニアばっかりになるイメージだったから。言われてみるとでっかい一眼レフみたいなの持ってるのは1~2名で、あとはスマホや普通のデジカメ持参。なんだ、もっと濃い世界なのかと思ってたからちょっと安心した。

 

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左、パンダラブの裏にあるごみ置き場。といっても臭いもなく綺麗に整頓されてる。右、そこから飼育員さんが拾ってきたパンダお食事後の笹。ところどころ葉の先が平行に切られてるのがパンダが握って食べた跡。飼育員さんが笹と一緒に手に持ってるのが配られた小冊子。

ちなみに葉がいっぱいついててフレッシュな笹と、ちょっと葉が黄色くなってるけど柔らかな新芽が根元から出ている笹、どちらを食べるかは与えてみないとわからないとのこと。笹や竹、タケノコは大阪と京都から週4回トラックで飼育員さん達が取りに行くそうで(それも食べない場合に備えて園内にも笹が植えてある)、冷蔵庫という名の6畳くらいの保存部屋も見せてもらった。天井から1時間に1度ミストが出て新鮮さを保ってるのだとか。

そうそう。ここから先、パンダご対面部屋までバックヤードは一切撮影禁止。なのでポンコツ極まりない自分の記憶だけが頼りとなる。間違ってたらごめんなさい、という。

 

アルコール入りとノンアルコール、どちらも揃えられている親切仕様の消毒スプレーで手を消毒し、消毒液が染みこんだマットの上で足踏みして靴を消毒し、いよいよバックヤードへ。入ると中は明るく、涼しかった。パンダの出身地・四川高地の気候に合わせて1年を通して20度ほどに保たれているのだそう。

狭い通路の、入口側から見て右に人間の身長と同じくらいの(だったと思う)銀色の大きな檻が5つくらい、左にそれより数回り小さな銀色の檻が1つ。大きな檻の中にはステンレス製っぽい腰くらいの高さのすのこ状の台。その大きな方の檻がパンダ3姉妹の寝室で、すのこっぽい台がベッドだそう。…床がタイルでベッドがステンレス(仮)って、寝心地悪くないか? それともあの毛皮が天然のお布団になるのかしら。

ちなみにどの部屋=檻がどの子の寝室とは決まっていなくて、その日最後に出ていた運動場に一番近い寝室に入るので日によって違うらしい。各パンダの名前と写真がついた手のひらよりちょっと小さいくらいのマグネットが檻に貼ってあって、それが目印っぽかった。

寝室同士をつなぐ檻がついた通路の一部は床が体重計、さらに檻の壁が可動式になっていてパンダを脇から挟んで固定できるようになっているそう。これはパンダに限ったことではなく、猛獣飼育の現場にはほぼ必ずある設備だとか。動けないように固定して怪我の治療などにあたったりするそうだけど、パンダラブでは治療目的で使用されたことはまだないらしい。

パンダはあの外見だけど毛皮の中身はスリム、かつ筋肉質で力持ちなので完全に動けないように固定するとなると相当壁を狭めなければならず、大人4人がかりで機材を引っ張らないといけないという話をしてた。

そして小さい方の檻はパンダの移動用の檻。配られた小冊子によると車輪付きで、パンダを入れてブリーディングセンターとパンダラブの間を移動したりするらしい。横にA4くらいの穴が開いていて、そこから中にいるパンダに腕を出させて飼育員さんが差し出すレバーを握らせ、血液検査や永明パパの血圧測定などをするのだそう。血圧、人間みたいにバンド巻いて測るらしい。…あんなモフモフの毛皮があっても測れるのね、血圧。

注射やら血圧測定やらなんで素直に応じるのかといえばちゃんと仕掛けがあって、腕を出してレバーを握ると大好物のハチミツがもらえると条件付けされてるそう。ハチミツはこういう検査時にしかもらえない超貴重なおやつなのでパンダは「うひょー!ハチミツ!」と嬉々として腕を出し、下手したら終わっても離さないらしい。さらに「パンダは2つのことを同時に考えるのが苦手」なので、ハチミツに夢中になってる時に針がチクッとしてもあまり気にしないんだとか。単純…かわいい…。

 

その先に進むとオープンキッチン、もしくはお料理教室みたいな空間が。人間用の冷蔵庫や調理台などが並んでいて、そこでエサの準備をするらしい。壁の大きなホワイトボードに3姉妹の名前といつどんなエサをあげたか、エサ用冷蔵庫のどの区画にいつどこで採取した笹がどれくらいあるか、そういうことがびっしり書き込んである。そして足元の棚?には笹と、パンダの名前がマジックで書いてある金属製のバット(※料理用のね)が。ニンジンやりんご、そしてなんか茶色いのがいっぱい入ってた。

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(パンダご対面後、撮影可能になった部屋で撮ったもの。こんな感じのが棚っぽいとこに入ってた)

 

茶色いなにか、飼育員さんによると「パンダ用のビスケットです。市販品ですがパンダ専用というわけではなく、実は草食性のサルのもの」だそう。さらに「上野などではパンダ団子というものを手作りしているそうですが。ここは最大で9頭いっぺんに飼育していたこともあり、1個ずつ手作りなんてとてもとても」と。なんとなくだけど公営と私営の違いが見えた気が)

 

そんなこんなで自由に質問を受け付けつつ、ついに奥の部屋に。ここで担当の飼育員さんが大阪出身の方にバトンタッチ。この向こうにパンダがいます、という声で興奮MAXな参加者達にまた諸注意があったのだけど、その中で印象に残ったこと。

「カメラ類のフラッシュは禁止です。もし設定がわからない方がいましたら私達に声をかけてください。確認します」

フラッシュの止め方とかそもそも設定がどうなってるかとか、わからない人いるもんね。いい案だなあ…と感心。そしていよいよご対面の時が…!

 

というところで長くなったので次に続く。待て次号。

 

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